第1回 只木主将の熱き声
(2004年4月9日)
>>第2回
只木主将は群馬FCホリコシのレベルの高さを
感じながらプレーしていた
(4月4日・群馬県立敷島公園)
4月4日午後3時半。満開の桜に冷たい雨が降り続く群馬県立敷島公園サッカーラグビー場は、激闘の余韻も消えて静まり返っていた。
JFL第2節で早くも実現した北関東同士の対決。我らが栃木SCがアウェーの前橋市に乗り込んで、今シーズン新加入の群馬FCホリコシと戦った。結果は2−4(前半0−3)。完敗ではあったが、4点をリードされてから2点を返し、さらに終了間際まで3点目を奪いに行った奮闘ぶりには拍手!だった。
静かになったスタジアムのアウェー側控え室通路。高橋高監督とコーチ陣が立ち話をする傍らで、只木章広主将が高秀賢史選手に熱っぽく語っていた。クールダウンを終え、床に座り込んで向き合った二人の間で、どんな話が交わされていたのかは知らない。しかし、開幕戦に続き連続スタメン起用された新人の高秀選手に、只木主将がプレーに関するアドバイスをしていたことは確かだった。
高秀選手はホーム開幕戦(3月28日・鳥取戦)、右サイドで先発。持ち前のスピードを生かして攻撃参加しようと意気込んでいた。ところが鳥取が攻めに転じると、マークする江後賢一選手の動きに翻弄された。「守備で精一杯になり、自分のプレーができなくなってしまいました」。試合後、高秀選手は悔しそうに唇をかんだ。この日の群馬戦でも、出るのか下がるのか、仕掛けるのかパスするのか、迷いがあるように見えた。
ピッチの中で、只木主将は当然、JFLのスピードにも当たりの強さにも慣れていない高秀選手を感じていただろう。帰路に就く直前のわずかな時間にも、「鉄は熱いうちに」とばかりに、若い有望選手に何かを伝授していたのだ。
「群馬はレベルが高かったですよ。負けたけど、こういう試合から学ばなければなりません。パスやシュートの精度の大切さとか…。経験をいかに今後に生かすかです」。試合後にインタビューした時、只木主将は「学ぶ」という言葉を二度、繰り返した。それは、チーム全体への思いであったろうし、とりわけ新人で先発した高秀選手への思いでもあっただろう。
日本代表チームの中にあって、傑出したリーダーの中田英寿選手(ボローニャ所属)は、選手同士がもっとコミュニケーションを取るべきだと常々言っているという。のべつ喋りまくっているイタリア人といるせいか、日本の選手たちの寡黙さが、逆に異様に映ってしまうようだ。
2004年開幕戦で先発起用された高秀選手
(3月28日・栃木県グリーンスタジアム)
ピッチの中でも外でも、声を掛け合うことの重要性は、世界も日本も、プロもアマも、そしてもちろんJFLでも同じことだ。
静かな控え室の通路で高秀選手にかける只木主将の熱を帯びた声は、敗戦と冷たい雨の暗い印象をぬぐい去るような、明るい響きとなって聞こえてきた。
☆ 篠崎豊プロフィール
1956年、宇都宮市生まれ。記者歴27年。Jリーグ、JFLなどサッカー取材多数。読売クラブ時代からのヴェルディ・ファン。2004、05年に栃木SC写真展を開催。栃木よみうり前編集長。
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