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29歳の誕生日、堅実なプレーで3連勝に貢献した堀田 |
(4月29日・栃木市総合運動公園陸上競技場) |
3連勝だ! 平成12年のJFL参戦初年度の後期に3連勝(延長Vゴール含む)して以来、勝ち星が3つ並んだのは久々のことだ。第6節・佐川急便東京戦を一言で表すと「選手全員でつかんだ勝利」だった。
2得点の1点目を決めたのは、茅島の右CKをドンピシャリと頭で決めた高野。「GKの位置を確認して、落ち着いて決められました」。よくゴール前であそこまでフリーになれたと思うくらい、フリーだった。佐川DFたちは長身の松永や、強そうな石川大に気を取られていたに違いない。CKのきっかけは、石川大のパスを茅島がシュートしてGKが弾いたプレー。何人もが絡んで1点を生んだ。
前半ロスタイムの2点目は、狙い通りの形から。左スローインを只木が大きく入れて、松永が頭で後ろに落とし、フリーでいた茅島がヘッドで押し込んだ。松永の高さが効いた。この追加点は大きかった。松永のポストプレーに2列目が絡む動きや、ボールを持たない選手の動きも活発だった。
守りの場面では、体を張ったプレーが目を引いた。前半に堀田、後半には石川裕之が相手シュートを身をていして防いだ。2人とも思い切り蹴られたが、痛む脚をこらえて最後まで走り続けた。GK原は、曲がって落ちてくる難しいFKを横っ飛びで間一髪弾いた。高野が入った3バックは2試合連続無失点だ。「DFとGKは集中してましたね。簡単にゴールを割らせずにゲームを進められました」と高橋監督も勝因にあげた。
右の伊奈川と左の石川裕之の両アウトサイドも、うまくバランスを取り、1枚ボランチの堀田との連係も良かった。「みんな、声が出るようになったんですよ。自信が出てきたということでしょう」と、試合後に堀田が言った。選手間のコミュニケーションは、ピッチの中の見えない武器なのだ。
勝ち試合の常で、何でも良く見えてしまう。見る側はそれでいい。押され気味だった試合の修正点は首脳陣に任せて、「全員で勝ち取った勝利、3連勝」に乾杯! お酒がこんなにおいしくて、こんなに楽しい気持ちになれるなんて、栃木SCのファンでいて、本当によかった。まだ栃木SCをご存じない地元の人たちにも、ぜひこの喜びを味わってほしいと思う、そんな試合だった。
☆ 篠崎豊プロフィール 1956年、宇都宮市生まれ。記者歴27年。Jリーグ、JFLなどサッカー取材多数。読売クラブ時代からのヴェルディ・ファン。2004、05年に栃木SC写真展を開催。栃木よみうり前編集長。
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