第9回  アウェーのホンダ戦、勝ち点1の意義 (2004年5月19日)
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 第9節、栃木SCはアウェーの静岡県浜松市・ホンダ都田サッカー場でホンダと対戦し、1−1で引き分けて勝ち点1を持ち帰った。試合後に電話取材した記者によると、高橋監督の第一声は「この勝ち点1は大きいですよ」だったという。
 ホームで勝ち点3を取ることが「J」に近付く道だ
(3月28日の開幕戦、鳥取DFにクロスボールをカットされる栃木MF岸田茂樹)
 アウェーで、しかも優勝候補の強豪と引き分けたことは、負けて当然の状況で負けなかったのだから「勝ちに等しい引き分け」だ。
 栃木SCは今季、出足でつまずいた。開幕戦の鳥取戦と第3節・ソニー仙台戦のホーム2試合で勝ち点1しか取れなかったのは痛い。というより、もったいなかった。2試合とも、今の栃木の力から考えれば、取りこぼしと言ってもいい。取りこぼした勝ち点5があったなら…と、ファンの誰もが思っていることだろう。
 ちなみに、この勝ち点5があって、他チームが現実通りとすれば、第9節終了時点で栃木は3位にいたのだ。これから迎える1位・大塚製薬、2位・ザスパ草津との直接対決は、どちらもホーム戦だ。それを考えると、たまらない。栃木が首位に立つのも、そう非現実的な話ではないのだ。この勢いで、ついに栃木がリーグ優勝! 我らが栃木SCが、Jリーグを除いた国内アマチュアの大ピラミッドの頂点に君臨することになってもおかしくないのだ。
 …話が飛躍し過ぎた。ちょっと酔っ払い過ぎました。一昔前、報知新聞に連載された巨人熱血"激ペン!記者"みたいになってしまいました。いや、そのくらい、アウェーでのホンダ戦引き分けはビッグな出来事だったのです。
 ああ、それなのに。わが栃木よみうりも、地元紙の下野新聞さんも、浜松まで取材に行かなかった。ファンの皆様、読者の皆様、ごめんなさい。でも、言い訳させて下さい。遠方まで取材に行かないのは、栃木SCがJリーグ昇格を表明していないからなのですゾ。もし表明していれば、わが栃木よみうりは、なけなしの取材費を絞り出してでも、どこにでも取材に行きます。たぶん下野新聞さんも行くでしょう。Jリーグ昇格宣言をしない栃木SCが悪いんだもん!
 ホンダ戦の数日前、いつもスタジアムでわあわあ言っているサポーターの一人と話した。彼は言った。「浜松は近いですよ。北陸とか大阪は近いでしょ。遠いというのは鳥取とか愛媛とか徳島のことを言うのであって……ねえ。篠崎さん、行かないんですか? あんなに近い浜松に」
 ううう…クヤシイ! 繰り返します。栃木SCが「Jリーグを目指す」とはっきり表明してくれれば、浜松でも北陸でも鳥取でも愛媛でも、行っちゃいます。「Jリーグ」という響きは、私のような田舎記者にも、遠方取材の十分な大義名分になるのです。

 ☆ 篠崎豊プロフィール
1956年、宇都宮市生まれ。記者歴27年。Jリーグ、JFLなどサッカー取材多数。読売クラブ時代からのヴェルディ・ファン。2004、05年に栃木SC写真展を開催。栃木よみうり前編集長。

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