第11回  ザスパに勝とう! (2004年6月1日)
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 第11節・横河武蔵野戦は引き分けに終わった。種倉のPKと大石のゴールで30分までに2点リードしたのに、前半のうちに追いつかれてしまった。痛い。その日は別の仕事があって武蔵野市に行けなかったので、翌日、太田市に行った。次節の栃木の相手、ザスパ草津の試合を見るためだ(対ソニー仙台)。横河戦も30度と暑かったようだが、こちらは何と34度。サッカーをやるには過酷だった。天候は両チームに同じ条件だが、この暑さはどちらかというとザスパにこたえたようだ。
 試合は2−2の引き分け。仙台の方がいいサッカーをしていた。ザスパの2得点は、PKと相手DFのミス(ゴール前混戦で緩いボールをGKに返そうとした)によるものだった。仙台は、PK失点後のキックオフわずか数秒で、一本のパスからザスパの3バックを切り裂いた。さらに、シンプルなパス回しから右に抜けたFWがフリーでシュートし追加点。どちらも、ザスパの集中が緩慢になっていた。
 横河戦で今季初ゴールのFW大石。
 3試合続けて起用され、注目度も急上昇だ
(5月23日の大塚製薬戦で)
 ザスパの要注意は、ボランチの鳥居塚主将だ。ほとんどの攻撃の起点になっていた。左右への大きな展開、前線に上がっての決定的パスやシュート。まさに"攻撃的ボランチ"だ。ここを抑えることがポイントだと感じた。ほかにも堺や山口、小田島など危険な選手はいた。ケガで欠場したFWフラビオは、万全の状態で足利に来るかもしれない。しかし、後半にも運動量を保てる栃木がうろたえる必要はない。後半に足が止まる傾向のある仙台でも、互角に渡り合ったのだから。
 試合後、ザスパの植木監督は「涼しい草津で練習していると、平地のこの暑さは厳しいね。疲れもたまってきているし。でも、苦しいのはどこも一緒。集中を保った方が勝つんですよ」と、コンディションと気持ちの面を強調していた。38歳の元日本代表GK小島も「集中が切れるということは、精神力、体力ともに、まだ足りないということ。ボク以外はみんな若いんで大丈夫だとは思うけど」と、暑さも敵に挙げていた。
 ザスパはご存じ、Jを目指す注目のチーム。地方の星でもあり、同じ北関東のライバルでもある。観客は4457人も入って、スタジアムはJリーグのような雰囲気だ。「12番」のレプリカ・ユニホームを着たファンで埋め尽くされ、サポーター集団も1000人以上いた。ただ、応援は単調だった。栃木サポーターのような選手一人一人の応援歌があるわけでもなく、状況に応じたバリエーションもなかった。応援では、量より質で、明らかに栃木が勝っている。
 選手のパフォーマンスも、栃木の方が上(パスミスを減らせば、の話だが)だと感じた。暑いのは栃木にとっても嫌だが、草津はもっと嫌がる。6月6日の足利のホーム戦、暑さを味方と思って栃木のプレーをすれば、勝ち点3は堅いはずだ。

 ☆ 篠崎豊プロフィール
1956年、宇都宮市生まれ。記者歴27年。Jリーグ、JFLなどサッカー取材多数。読売クラブ時代からのヴェルディ・ファン。2004、05年に栃木SC写真展を開催。栃木よみうり前編集長。
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