第26回  GK星の公式2試合 (2004年9月8日)
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 2試合ともピンチらしいピンチはなかった。だから、久々の公式戦出場となったGK星昭仁の存在はさほど目立たなかった。JFLリーグ戦に次いで重要なカップ戦、栃木トヨタカップ第9回栃木県サッカー選手権大会の準決勝・矢板中央高戦(3−0)と決勝・日立栃木戦(2−0)。星は、順当に優勝し7年連続の天皇杯出場を決めた栃木SCのゴールマウスを守り切った。
 今季JFL開幕戦(3月28日・ホーム)の鳥取戦に先発フル出場したが、それ以降はエースGK原の控えに回っていた。ケガでも不調でもないのに、もう20試合もベンチを暖めていたことになる。それが試合日程の関係で、天皇杯を目指す大事な戦いの守護神を任されることになった。
最後尾から指示する星の声がピッチに響き渡った
(9月4日・栃木県グリーンスタジアムでの栃木トヨタ杯決勝で)
 試合中、星は大声を張り上げ続けた。積極的なコーチングは大学時代に身につけたものだ。遠藤、高野、横山の3バックや右の松本、左の石川裕之、真ん中の堀田らと、よく声を掛け合って、自陣ゴールの危機を未然に回避していた。
 2試合を無失点で終えた星は言った。「まず0点に抑えたのはチームにとって良いこと。守備陣として結果を出せました。ゴールは前のDFとの連係で守るものですが、ピンチが少ないに越したことはありません」「自分個人としては、もっとコミュニケーションが取れないと、(県レベルより)格上には通用しないと思います。ただ、しばらく実戦から離れていたので、この2試合は自信を取り戻すいい機会になりました」「JFLでも、もちろん出番はほしいですよ。いつ来てもいいように準備はしています。我慢していれば必ずチャンスは来るはずです」
 烏山高−作新学院大の地元生え抜き選手。新人だった昨年は9試合に出場。天皇杯ではJ2・大宮アルディージャの猛攻も経験した。GKの世界では、ちょっと飛躍して言えば、J1・横浜の川口能活の控えだった榎本が大活躍したり、もっと飛躍して言えば、90年イタリア・ワールドカップで英雄になったアルゼンチンの第3GKゴイコチェアの例はあまりにも有名だ。控え選手の中でも、とりわけGKというポジションは、出場機会が少ない分、力量と気持ちを維持し続けることはなかなか大変なことだと思うが、この2試合を見た限り、星はきっちりとやっているように感じ取れた。

 ☆ 篠崎豊プロフィール
1956年、宇都宮市生まれ。記者歴27年。Jリーグ、JFLなどサッカー取材多数。読売クラブ時代からのヴェルディ・ファン。2004、05年に栃木SC写真展を開催。栃木よみうり前編集長。
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