第27回  横河戦プレー寸評 (2004年9月24日)
第26回<< >>第28回

 リーグ戦5連敗中だった栃木SCが、足利市のホームゲームで横河武蔵野に1−0で勝った試合は、見どころが多かった。まず、連敗しても頑固なまでに3−4−3を貫く高橋監督の信念。機能すれば、かなり高度な戦術が可能で、運動量豊富な選手が多い栃木SCには合っているかもしれない。
 その横河戦の中から、目についたプレーをいくつかピックアップする。何といっても後半25分、ゴール枠内でDF高野が相手シュートをシャットアウトした場面。前に出たGK原がかわされて正面から打たれた。これを防いだことが、勝利への最大の足場となった。
 相手DFと競り合いながらヘディングシュートする
 遠藤雄二(左)
(9月19日・足利市総合運動公園陸上競技場で)
 後半開始直後、相手のシュートを防いだDF遠藤のプレーも大きかった。右フリーで突進した相手FWが強烈なシュートを放った。その瞬間、遠藤のスライディングが間一髪、間に合った。あそこで失点していたら、間違いなく6連敗の憂き目を見ただろう。遠藤は、前半39分の右CKをタイミング良くヘディングシュートした。角度がもう少しだった。この日の遠藤は、攻守にいい働きをした。
 左サイドのMF岸田は、ボールを持ち過ぎて、奪われたりカットされるシーンが目立った。ファンの目には、球離れが悪い選手と映っただろう。しかし後半、センターサークル付近で相手2人を前にして猛然とドリブルを仕掛けていったプレーは評価したい(つぶされたけど…)。岸田の特徴が表れていたし、もしバックパスを選ぶようなら、岸田を起用する意味がない。ただ、左45度フリーの絶好のシュートは枠に蹴ってほしかった。
 右MFで初先発の高木は、スルーパスの意識が先行し過ぎてFWと合わない場面があったが、いずれ決定的仕事をしてくれる予感はあった。
 得点シーンは、横河の厳しい攻撃に耐えた後の80分に訪れた。左サイドから只木がクロスボールを入れた。それを受けたのが右サイド交代投入の松本だったことがポイントだ。松本は得点チャンスを嗅ぎ分ける嗅覚がある。前期の群馬FCホリコシ戦で2アシストした時と同じようなシーンだった。松本は横並びでゴール正面にいたFW若林に素早く預け、若林は相手DFを一歩かわして右足でシュート。ボールはゴールネットに吸い込まれた。
 思わず笑みがこぼれた場面が残り3、4分のころにあった。ボールがタッチラインを越えて、大きく弾みながら高橋監督に向かってきた。リードしている栃木側としては少しでも時間かせぎをしたいところだが、高橋監督は何を思ったか、急いでバレーボールのブロックのように両手でボールを戻した。6試合ぶり勝利寸前の緊張感を象徴するひとコマだった。

 ☆ 篠崎豊プロフィール
1956年、宇都宮市生まれ。記者歴27年。Jリーグ、JFLなどサッカー取材多数。読売クラブ時代からのヴェルディ・ファン。2004、05年に栃木SC写真展を開催。栃木よみうり前編集長。
第26回<<>>第28回

 
Copyright © since 2005 TOCHIGI SOCCER CLUB.
caters