第30回  ザスパ草津に惜敗 (2004年10月6日)
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 ザスパ草津との2度目の対戦は0−1の惜敗だった。守りがうまく行って、勝ち点1が見えていた展開だったので、本当にもったいなかった。
 栃木は若林が1トップ気味になった3・6・1の陣形でスタートした。右の松本、左の石川裕之で両翼を抑え、いつもの3バックとその前の堀田、種倉の2枚ボランチでザスパの強力な攻撃陣に対抗した。守りを固めてカウンターを狙う作戦だ。栃木の守備は集中しており、思惑通りザスパと互角に渡り合った。
 半面、若林にボールを合わせても次のつなぎが手薄となり、栃木が局面を打開できる可能性はあまり感じられなかった。後半10分、右サイドを崩し、最後はゴール正面の種倉が左足一閃の強烈なシュートを放ったシーンが惜しかった。ザスパGK小島がダイビングして芝に落ちた時、一瞬ひきつった表情をしたほどだ。シュートはわずかにクロスバーの上だった。
 失点したのは84分。ザスパMF山口のPKだった。GK原はコースを読んで右に飛んだが、届かなかった。PKを取られたプレーは、初出場のブラジル人FWマルキーニョスが、早いタイミングで放り込んだクロスボールが発端だった。「ゴールに一番近いポジションに吉本がいたので」とマルキーニョスは試合後に言った。シンプルだが的を射た判断だ。
 ザスパの吉本は縦に走りこんでヘディングシュートを狙った。栃木DF高木が競った。ホイッスルが鋭く響いて、勝又主審は高木にイエローカードを示した。その位置はペナルティエリアの中だった。吉本がガッツポーズした。
ザスパ・山口のPKを栃木GK原はよく読んだがわずかに届かず
(10月2日・南長野運動公園で)
 ザスパの要注意FW吉本は、同じ背番号27の栃木DF高野を中心に徹底マークして、ほとんど仕事をさせていなかった。吉本自身「ボールがもらえなくて厳しかった」と振り返った。しかしこの場面では、高野はマルキーニョスのシュートコースを消すか、ほかに何かすることがあって、吉本から離れていた。そこを高木がカバーした。ビデオを見る機会がないので詳しいことは分からないが、そんなシーンだった。
 2シーズン目の高木は、前節の横河戦に先発してJFL初出場を果たした。この試合が2度目の起用だった。68分に右サイドの松本と交代して入った。身体能力が高い選手なので、ゴール前ではノーファウルに徹してほしかったが、それを言っても始まらない。不運だったと諦めるしかない。投入されて15分、高木はまだリズムに乗り切れていなかったのに、自陣ゴールに向かって対処するというリスクの高い場面に直面したのだった。高木は試合後、がっくりとうなだれていたが、緊迫した試合の終盤に訪れた危機的場面で、少なくとも相手FWをフリーにしなかったことだけは事実だった。

 ☆ 篠崎豊プロフィール
1956年、宇都宮市生まれ。記者歴27年。Jリーグ、JFLなどサッカー取材多数。読売クラブ時代からのヴェルディ・ファン。2004、05年に栃木SC写真展を開催。栃木よみうり前編集長。
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