第33回  自信を失ってはいないか (2004年10月27日)
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失点の2分後、若林(左)が同点ゴールを決めて、
前半はYKKと 互角に戦った。右は堀田。
(10月24日・栃木県グリーンスタジアムで)
 後期第10節のYKK AP戦は1−4の大敗だった。前節に続く秋晴れの下でのホーム戦は、2試合連続の大量失点。「富山勢に9点献上」と新聞の見出しにもなってしまった。3連敗となって、これで後期2勝8敗。好調だった前期からは信じられない状況だ。とりわけ、引き分けがないことが、後期の不調ぶりを物語っている。
 アローズ戦もそうだったが、YKK戦でも、相手アタッカー陣にガムシャラに挑まれた時にもろさを露呈するシーンが増えた。前期はもっと粘り強くて集中度の高い守りをしていた。自陣ゴール前のルーズボールを相手に先にタッチされてしまっている。栃木が誇るクレバーで強力な3バックは一体どうしてしまったのだろう。前々節のザスパ草津戦で機能した3・6・1をYKK戦でも使ったが、押し込まれた中での失点では、システム以前の問題だ。
 YKKの能力の高いFW3人(朝日、長谷川、牛鼻)に10番の星出から素早い好パスがどんどん供給されて、堀田・種倉のドイスボランチも対処し切れなかった。特に後半は一方的なゲームになってしまった。2試合で9失点という状態は、サッカー界では「守備の崩壊」と表現する。相手攻撃陣がいかに強力であっても、同じJFLのカテゴリーの中で、9失点は取られ過ぎだ。私には、専門的な原因分析はできないけれど、守備陣だけではなく、チーム全体が自信を失っているように見える。
 そのへんのところを只木主将は当然感じている。「オレたちは一時期、自信を持って戦っていた。結果もついてきた。でも、他のチームも力をつけてレベルアップしている。そんな中で、ちょっと危機感が薄れていた部分はありますね。試合の流れを変えるのは大変なことですが、YKKの選手たちはよく声をかけ合ってやっていた。栃木が少し前までできていたことですよ。このところ、昔の不調だったころの状況に戻ってしまったというか…」。
 只木主将は「初心に帰らなければ」と強調しながら「まずは練習に危機意識を持って取り組み、目一杯、自分たちを追い込んでおいて、試合になったら自信を持って戦うことが大切。キツイけど、それしかないんです」と断じた。そして、まだ1−1だった後半9分、防戦が続いた中からのカウンターで、堀田のパスを受けて自ら放ったシュートが相手GKに弾かれたプレーを例にあげ、「あれを決めなきゃいけないんです。あそこで2−1にすれば流れが変わる。守備陣だけの責任ではなくて、攻撃陣の責任でもあるんです」と、チームの不調の一因を自己分析した。
 一言で言えば、今の状況は「攻守がかみ合っていない」ということだろうか。

 ☆ 篠崎豊プロフィール
1956年、宇都宮市生まれ。記者歴27年。Jリーグ、JFLなどサッカー取材多数。読売クラブ時代からのヴェルディ・ファン。2004、05年に栃木SC写真展を開催。栃木よみうり前編集長。
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