第37回  高木が成長してきた (2004年11月25日)
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 2−1で勝った国士館大戦は、今シーズンの多くの試合で採ってきた3−4−3の陣形だった。3バックは、遠藤の代わりに高木が入ったので、横山が本来のセンター、左に高野、右に高木という布陣になった。GK原−横山−ボランチ・堀田−トップ下・只木の中央ラインは、栃木SC史上屈指の屋台骨だ。野球でも捕手−投手−中堅のセンターラインがしっかりしているチームは安定感があるが、サッカーも同様。国士舘大が後半に仕掛けてきたパワープレーに持ちこたえられたのは、見えない柱がしっかりと支えていたからだ。
DF高木建太はシーズン終盤に頭角を現してきた
(11月21日・栃木県グリーンスタジアムで)
 この試合、目に見えて良かったのは右サイドだった。中盤右の種倉が、攻守にいぶし銀のプレーを見せた。「体調はいいですよ」と言うように、縦の運動量も半端ではなかった。それでも本人は「後ろからもっと上がって行かないと…」と反省したほど。そして、今季4度目の先発だった3バックの右の高木も良かった。「仕掛けられて、抜かれた場面がなかったし、カバーリングも良かった」と高橋監督も合格点だ。「特に、声を出すこと(コミュニケーション)を意識してプレーしました」という高木について、横山は「僕にないもの、例えばスピードが、彼にはある。お互いにカバーし合ったり、話し合ったりできる」、種倉も「コミュニケーションは大丈夫」と、23歳のプレーを認めた。
 誰が出ても水準を維持できる態勢を「選手層が厚い」と言う。サブのメンバーには、右サイドが専門のDF松本修とMF伊奈川正通という、先発してもおかしくない選手が控えていたが、この日の右サイドには、交代しなければならない理由はなかった。
 右の高木がもっと経験を積んで定着すると仮定して、あとは左サイドバックに確たる専門家が台頭すれば(現有勢力では、守備能力の高い岸田や故障から復帰間近の高井ら)、「4バック」を基本にした陣形が、より威力を発揮するように思う。中央と両サイドの3本の矢。将棋の飛車と香車のような、前への意識の高い攻撃的な青写真を頭に描くことは楽しい。決定力あるFWが前線にいることが大前提ではあるが…。

 ☆ 篠崎豊プロフィール
1956年、宇都宮市生まれ。記者歴27年。Jリーグ、JFLなどサッカー取材多数。読売クラブ時代からのヴェルディ・ファン。2004、05年に栃木SC写真展を開催。栃木よみうり前編集長。
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